「青春真っ只中」
57歳の今、自然にこんな意識がある。意気がってる訳ではなく、確信を持ってそう思うのだ。…確かに、若い時(20代とか30代そして40代)より、格段に今が充実している。自分の場合、若かった時は“若い”と云うより、“青かった”と云った感じで、生きる確かな“手応え”のようなものが希薄だったように思うのだ。
29歳の時、親父の後を(死去の為)継いで代表者となり、会社もいくらか大きくなって、一端の“経営者”を気取っていたが、今振り返ると、思い上がっていたのが分かるし、足もしっかり地についていなかったのは否めない。高額所得法人に名を連ね、自分に力があるが如きの錯覚に陥っていた。
ところがその後、時代の急変に売上は激減、多額の赤字を計上し、“破綻”の予感の中に這いずり回ることになった。長く悶え苦しんだ結果、3年ほど前、一筋の光を見出したのだ。背伸びをするのは一切止めて、等身大のまま、“自分”を偽らずに、“自分”を生き抜こうと、確信めいたものが出来た時、そこには後ろめたさのない、すっきりした、けれども、“誇らしい”自分がいた。ベンツを中古の国産車に乗り換えたら、それまでの肩の重荷が取れたようで心も安らかで、爽快この上なし。肩の力を抜かないと、柔軟な発想が出来ないことが(凡愚の自分は)この歳になって分かってきた。
人の気持ちもいくらか分かるようになってきたし、モノの味わいも深くなってきた。
人の“情”も、酒の“味”も、モノの値打ちも、若い時に比べると、目からウロコがまとめて10枚も落ちた如く、別世界のように、輝いて、かつ感動的に見えるようになったのだ。
昨年15年振りに、バイクに乗り始めた。学生時代に始めた剣道は7年前に再開し、この夏は六段に挑戦する。又、2ヶ月前にきっかけがあり、18年振りに絵(油絵)を書き始めた。9月には地元のホテルのレストランでお披露目することになっているので、晩酌は控えて、絵筆を握っている。
正に今、「青春真っ只中」である。
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