黒岩山より竜岬を望む。陽は西に落ちかけて、太平洋も静かなたたずまいを見せる。遥かに水平線はぼやけて見えるが、地球の丸いのが分かるようでもある。


 室戸を出発、安芸を通過して、高知に入る前、赤岡町の造り酒屋「高木酒造」に立ち寄る。ブランドは「豊の梅」、創業130年の老舗で、4代目と5代目の社長が二人して、酒の説明と利き酒をさせて下さった。
 吟醸はうまいが高い。“これからは寒くなるので、わしゃ燗してうまい酒をもらおう”と言うと、勧められたお酒は案の条、価格も手頃、2本(2升)買って送ってもらうことにした。又、この赤岡町は「どろめ祭り」が有名で、“どろめ”とは、いわしの子のことで、湯がいて干せば“ちりめんじゃこ”になるのを湯がかず生で食べるのを言うのだそうだ。
 有名なのは、この時のお酒の“一気飲み”で、大きな杯になみなみを注がれた一升のお酒を如何に早く飲めるのかを競うもので、昨年の優勝者(男性の場合)は僅か10秒6とのこと。(とても信じられん)。
 

さすがに高価な吟醸酒は、高級ワインのようで、日本酒のワクを越えている。ツーリング途中なので、ガブガブと飲んではいけません (注)舐めただけです。

ツーリング途中の酒蔵巡りは、JRPツーリングの恒例行事となってしまった。お酒とともに、人との出会いも、これまた魅力。仕込み時期は蔵の中も見学可能らしい。

問い合わせ先 赤岡町 高木酒造 TEL0887-55-1800


 赤岡町を出発、海岸線を通り、浦戸大橋を渡って須崎の手前の信号で、加藤くんが尾原に“オシッコがしたい”と言うので次のパーキングで、一休みすることになった。
 尾原が先頭を走り、自分が2番目だったのだが、竜の浜パーキングに入り、尾原が止めたその向こう側に止めるつもりで大きく回り込もうとしたその瞬間“ガシャーン”と、ど派手な音がして、見事にコケてしまった。もちろん自分は放り出された。
 

 アゝ、先の駐車の位置に目が行き、手前の駐車場の縁石(高さ5〜7センチ)が見えていなかったのだ。直角ならともかく、斜めに傾斜して入ったものだから、見事に前輪を持って行かれてしまったのだ。うかつであった。スキがあった。剣道5段なのに実に情けない。(それにしても、あの時、加藤がオシッコなんて言わなければオレはコケてなかったのに、と思ったりもしたが、考えれば加藤はオレの息子のようなもの、自分の子供にオシッコさせるのは親の役目ではないかと思い直し、再び自分の不注意を悔いることになる)。
 それでも、このコケ方はラッキーであった。バイクはほとんどキズついていないし(右ハンドルの端を擦ったのと、後ろに取り付けてあつたGWスポーツのサイドバックを擦らすだけで済んだ)ケガもなし、右大腿の側面を少し打ったが…。それにしても、どうしてパーキングにこんな縁石を作ったのだ。車に対するものだろうが、バイクに対しては危険極まりないではないか。現実は車社会と云うことか…。自分もバイクに乗る限りは、自分で自分を守る力を付けねばならぬと思うことしきりであった。

 
この後、川久保さんが持参したコッヘルで皆にコーヒーを入れてくれた。皆、疲れているみたいだからと言いながら…。駐車場に座り込んで飲んだコーヒーは実にうまかった。

 この後、須崎〜中土佐〜窪川を経由して、夕方には四万十川支流の松葉川上流に位置する「松葉川温泉」に到着した。


高知県の窪川町にある山里の温泉。四万十川支流の清らかな渓流と美しい広葉樹の森、そして良質の温泉に恵まれ、隠れた名湯として知られている。


眼下に四万十川の支流を見下ろす露天風呂。(もう暗くなって景色はカメラには写っていないが)温泉の質も良く、湯加減も良く、もう感動もの!!川久保さんの笑顔は無意識に出てしまったものだ。“生きてて良かった”“ツーリングに来て良かった”と云う感じ。
料理は正に期待を超えた素晴らしさであった。品数も多かったが、どれを食べても皆いける。特にここで出された刺身は絶品であった。自分は海釣りをするので、刺身にはうるさいのだ。その自分が食べて賞賛するのだから、これは相当のものだ。
写真の子持ちあゆの塩焼きは、硬いほど卵が詰まっていて、これまた絶品。後は出されたご飯が“新米”の地元特産の仁井田米でこれは香り立つような美味しさであった。

 ビールと日本酒をたらふく飲んで部屋に戻り、カラオケに行きたいと尾原に言うも、ガイドを見ていて、ここにはないとのこと。仕方がないので、川久保さんが、高木酒造で買ったばかりの濁り酒を飲みながら、あかぺらで民謡を2曲歌う。(実は自分は相当うまいのだ)。本当に素晴らしい「松葉川温泉」、太鼓判を押せるお勧めの宿です。

ホテル松葉川温泉 TEL0880-23-0611 1泊2食付き¥9500〜



 
温泉すぐ前のつり橋からは、
四万十川の支流「松葉川」が静かに流れる。




次へ




2005 J.R.Products All rights reserved.